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​お知らせ・活動報告

【なごやラボだより】エチレン生産動向を眺めてみると・・・

資源プラ協会なごやラボの本堀です。夏本番ですね。


さて、当協会で月1回開催される理事会においては、リサイクルを取り巻く市場環境に関して、高い専門性を有する経験豊富な理事により様々な角度から分析し、会員の皆様への情報提供に努めています。


この結果は、会員ページやセミナー、展示会などの場で還元させて頂いています。


先日、開催された理事会においては、「エチレンの生産動向」というテーマが取り上げられました。


エチレンはポリエチレン(PE)の原料(モノマー)であるのみならず、塩化ビニル(ポリ塩化ビニルのモノマー)、エチレンオキシド(ポリエステルの原料の一つ)、アセトアルデヒド(酢酸や酢酸エステルの原料)、スチレン(ポリスチレンのモノマー)など様々な化学原料を生み出す化学産業における最も基本的な物質の一つです。


そのためエチレンの生産動向を眺める事は、ポリエチレン(PE)のみならず、ポリスチレン(PS)やポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル(PVAc)などの他のプラスチックの動向を探る上でも非常に参考になります


下図をご覧下さい。これは理事会で議論を行った際に用いた世界的なエチレン生産動向をまとめたものなのですが、ここ10年で国によって大きく生産動向が変化している事が良く分かります。





現在、世界最大のエチレン生産国は中国なのですが、2011年から2021年の10年間で生産量が約2.4倍に激増しています。


中国国内の活発な経済状況を反映したものであると思われますが、今後は国内消費から輸出を指向した戦略にシフトしていく事が伺えます。


米国も中国同様、エチレン生産を増強していますが、これはシェールガス由来のエチレン生産の増加を反映しているもので、近年新資源として台頭しているシェールガスの化学産業への影響を如実に表しているといえましょう。


代表的な産油国であるサウジアラビアもエチレン生産が増加していますが、これは原油生産の副産物である石油随伴ガスを利用したものであり、これも産油国における化学産業の進化という新たなトレンドを反映しています。


他方、欧州(西欧地域)においては、需要が伸び悩み、生産が停滞しています。


我が国においても、需要が頭打ちの状態にあります。このため、国内需要を満たす事を優先し、経産省主導でエチレンセンターの再編が進んだ結果、この10年でエチレン生産が漸減しています。


この様に各国のエチレン生産の動向を見くらべる事で、今後の化学産業の動向を推し量る事が可能となり、プラスチックリサイクル業界としての立ち位置も見えて参ります。


理事会での意見交換の結果は会員の皆様へセミナーやレポート、会員ページの記事などの形で還元させて頂きますので、是非、そちらの方もチェックして頂きたいです。


我々、資源プラ協会は、市場動向や社会情勢、法規制、技術などを多角的に見つめ、様々な背景を持つ専門家の立場で、安定で持続的なリサイクルの輪の構築と運用を目指しています。


毎月の理事会では、こんなお話しが繰り広げられているのです。




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