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​お知らせ・活動報告

【なごやラボだより】プレコンシューマー品とポストコンシューマー品

資源プラ協会なごやラボの本堀です。新緑が瑞々しいですね。


さて、当協会には、プラスチックのリサイクルを業とされている事業者の皆様のみならず、プラスチック廃棄物を排出される排出事業者の方々からもプラスチック廃棄物のリサイクルに関するご相談や資源プラについてのお問い合わせが多く寄せられています。


排出事業者の皆様からは、自らの事業所から排出されるプラスチック廃棄物の処理の方法(技術)や処理物の流通、法令上の取扱いなどのご相談を頂くのですが、担当者の中にはプラスチック廃棄物のリサイクルに明るくない方も多くおられます。


この様な方とお話しさせて頂く際に結構困ってしまうのは、プレコンシューマー品とポストコンシューマー品の区別がつかないために話が通じにくい事が結構あるんです。


そこで今回は、「プレコンシューマー品」と「ポストコンシューマー品」という用語について簡単に説明させて頂きます。


プラスチックのライフサイクルをざっと見てみますと、原油や天然ガス、石炭といった「化石資源」を出発原料とするものと、「バイオマス」を出発原料とするものがありますが、いずれのルートもその“役割”が終われば廃棄されるという点においては違いがありません。


問題は“廃棄のされ方”でありまして、まずは廃プラスチックの“廃棄のタイミング”の違いによるマテリアルリサイクルのルートの違いについて見てみましょう。


ほとんどのプラスチックの製造においては、化石資源やバイオマスからモノマー(単量体)が製造され、これ重合する事でポリマー(重合体)が製造されます。


このポリマーに添加剤などを加えたり、アロイ化したり、化学改質したりする事で、成形材料である「プラスチック原料」が生まれる訳です。


このプラスチック原料を成形する事で「プラスチック成形品」が製造され、我々の生活に広く用いられています。


そして役割を果たしたプラスチック製品は廃棄され、“廃棄物”として処理されます。





この廃棄物である廃プラスチックは、回収され、そのまま使うことが出来るものはリユース(再使用)され、それ以外のものは、汚れの程度などの品質に応じて、マテリアルリサイクルやサーマルリカバリーに供されます。


一部のプラスチックについては、化学原料や燃料に改質されるケミカルリサイクルに供されています。


いずれにせよ、“消費者による使用”を経る事でプラスチック製品としての役割を終えてから回収され、品質的に優れるものはマテリアルリサイクルに回されるというルートです。


この様に“消費者による使用”を経てから、マテリアルリサイクルに供された材料の事を「ポストコンシューマー品」といいます。読んで字の如く“消費後の品”という意味です。


ポストコンシューマー品としてよく見掛けるものには、使用後の食品包装や流通用の包装資材が挙げられます。


いずれにせよ、“消費者によって使用された品”が廃棄された場合に「ポストコンシューマー品」に該当するという事になります。


他方、プラスチック原料の製造過程や成形過程において発生するスプルーやランナー、パージに用いられた樹脂、捨て打ち品、不良品なども廃棄物となります。


これらは“消費者による使用”を経ずにマテリアルリサイクルに供された材料であり、「プレコンシューマー品」といいます。読んで字の如く“消費前の品”という意味です。


これらの廃プラスチックは、ポストコンシューマー材料と異なり、廃棄物処理法上は産業廃棄物に該当します。


この様に一口に”廃プラスチック”といってもその排出の履歴により様々な性状を有していると言えます。


特にプレコンシューマー品とポストコンシューマー品では、排出時に混入している他素材や異物・汚れといったマテリアルリサイクルの妨げとなる要因の割合がかなり違います。


プレコンシューマー品は成形端材やオフグレード品などが主であるため、排出源に関する情報を比較的入手し易く、また製造ラインに由来する単一素材が排出される事が多いという特徴を有しています。


他方、ポストコンシューマー品については、一旦消費者の使用を経ているため、汚れの付着や他素材などの異物の混入が多く、また多くの場合、その排出源に関する情報は少ない事が多いです。


しかるに一部のポストコンシューマー品に関しては、「単一の素材」が「大量」に排出されているケースも存在しており、この様な場合は排出源の情報を得やすく、異物や汚れの管理を行い易いため、マテリアルリサイクルを有利に進める事が可能となります。


この様にプレコンシューマー品とポストコンシューマー品では、リサイクルの可能性(資源プラ化の可能性)や適用すべき処理技術、処理物の市場流通性などリサイクル事業を営む上で抑えるべきポイントが大きく異なります。


是非、この違いを十分に把握して頂き、どの様なプラスチック廃棄物のリサイクルを目指すのかという点を明確にして頂けますと、事業化に向けた次のステップへ速やかに進む事が可能となります。


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