資源プラ協会なごやラボの本堀です。梅雨時でジメジメしていますね。
さて、当協会で月1回開催される理事会においては、リサイクルを取り巻く市場環境に関して、高い専門性を有する経験豊富な理事により様々な角度から分析し、会員の皆様への情報提供に努めています。
この結果は、会員ページやセミナー、展示会などの場で還元させて頂いています。
先日、開催された理事会においては、「石炭価格の動向」というテーマが取り上げられました。
石炭はエネルギー資源と共に化学原料の出発物質としても非常に重要な位置を占めておりまして、その価格動向は化学製品であるプラスチックにも少なからぬ影響を及ぼします。
欧州を中心に過熱する脱炭素化社会に向けた動き、ロシアによるウクライナ侵攻などにより、世界のエネルギー供給は非常に不安定な状況にあります。
おまけに我が国においては、円安が常態化し、輸入調達コストが急激に上昇しています。
このコスト高は最終製品の値上げという形で消費者の皆様に重く圧し掛かっています。
非常に厳しい状況ですね。
エネルギー資源の調達が厳しさを増す中、”豊富で比較的安価な資源”と言われている「石炭」の需要が急拡大しています。
下図をご覧下さい。これは理事会で議論を行った際に用いた石炭価格の推移なのですが、欧州の脱炭素への方針転換、世界的なコロナ禍の拡大、ロシアによるウクライナ侵攻を経て急騰している事がわかります。
最近は落ち着きを取り戻しつつあるようですが、世界的にエネルギー資源の需給バランスが崩れている状態は今後も続くと思われます。
脱炭素の旗振り役であるドイツは、我が国を始めとする石炭利用国に石炭の使用禁止の圧力を掛け続けていたものの、ロシアによるウクライナ侵攻により天然ガスの調達が困難になった事を理由に自国では”緊急避難”と称して石炭や亜炭を燃料とした火力発電を進めています。
正直な所、「こんなんアリか?言うとる事とやっとる事が全然違うじゃないか!」と密かに怒っています。
化学を専門とする私の立場から見ますと、「そんなに石炭って悪者なのか?」と思うのですが・・・。
いずれにせよ、今後、世界のエネルギー需給の構造や取引の仕組みが大きく変わる事を想定しておく必要があると思います。
その様な中で、資源プラ化が難しい品質面で劣るプラスチック廃棄物の行き先として、「エネルギー資源」という道、つまり「サーマルリカバリー(熱回収)」という選択肢をしっかりと議論する時に至ったと考える必要がありますね。
我々、資源プラ協会は、市場動向や社会情勢、法規制、技術などを多角的に見つめ、様々な背景を持つ専門家の立場で、安定で持続的なリサイクルの輪の構築と運用を目指しています。
毎月の理事会では、こんなお話しが繰り広げられているのです。
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