当協会が掲げてきた資源プラという考え方、マテリアルリサイクル優先という中にあっても、「経済合理性と汚染防止のバランスをとりながら持続可能なリサイクルを推進する」という観点で、記事にさせていただきました。
昨年1月からプラスチック輸出を規制対象にしたバーゼル法省令が施行されたのも束の間、今年4月にはプラスチック資源循環法が施行された。これら一連の施策は「プラスチックスクラップの輸出規制強化」と主に国内での「プラスチック資源循環の促進」として“車の両輪”とも言える施策だ。
国はこれらの新たな法制度で、他国の政府による不適正なプラスチックスクラップの輸入規制と海洋プラスチックごみ問題への対応、新たな国内資源循環を進める狙いがある。リサイクルの現場にいる者としても制度が整ったことを歓迎している。
私ども(一社)資源プラ協会では、「適切な前処理、中間処理を施すことで、全量再生プラスチック原料の基材として利用できる品質を保持する処理物である」など6つの条件を満たしたものを“資源プラ”と定義しており、汚れが付着したり、異物が混入したものなどを含む広義の「廃プラスチック」と明確に区分している。
“資源プラ”とは日本国内のみならず、海外でも適法適正にリサイクルできる物だ。日本政府はバーゼル条約附属書改正に伴い、バーゼル法省令改正で、適正な輸出ができるいわゆる「該非判断基準」を示したが、その基準は私どもが定義した“資源プラ”とほぼ合致したものになった。長い歴史をもつ適正な国際資源循環は、国内資源循環とともに今後も続くだろう。
一方、プラスチック資源循環法ではマテリアルリサイクル(材料リサイクル)とケミカルリサイクルが「再資源化」とみなされたことで、日本の新規参入企業や大手化学メーカーも含めて様々な企業が取り組みを進めようとしている。
足元をみると、日本におけるマテリアルリサイクルは国際資源循環(輸出リサイクル)がその80%を占めている。バーゼル法省令改正以降、日本国内でプラスチックスクラップを再生ペレットに加工して輸出する事例も増えた。高品質の再生プラスチック原料には海外からも旺盛な需要がある。このことは決して「非」ではない。
現在、プラスチック価格高もあって、日本では欧州や中国などアジア系のリサイクル業者が積極的に事業を展開している。今は「リサイクルのバブル」とも言える。
注意すべきなのは、そのリサイクル事業が排水処理などを含めて環境保全上適法適正であるかどうか、その時々の市況に関わらず持続可能であるのかどうかということだ。
国でのプラスチック資源循環法の審議は、ESG投資(環境・社会・ガバナンスを考慮した投資)の議論と平行して進められた。ただ、本来は中長期的な視野に立つ目的の投資なのだが、「目先のお金を使う」だけの取り組みになっていることが多いことが気になる。適正なリサイクラーがそのあおりを受けることがあってはならない。
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